木のぬくもりあふれるのびのびとした保育空間
祝昌第二保育園
園長 過外章道 様
石井設計
執行役員 建築設計部門代表 加藤 重雄
國津 雄貴
Data
- 竣工年月:2011年03月
- 所在地:群馬県前橋市公田町
- 用途:保育園
- 敷地面積:1,935m2
- 延床面積:877m2
- 階数:地上1階・地下0階
- 構造:S造
プロポーザルでのスタート
- 園長
- 石井設計さんというのは群馬県内ではトップクラスの設計会社ということは前から存じ上げておりました。
私ども養心会という法人で3つ保育園を経営してるんですね。
祝昌保育園、ここが祝昌第二保育園、あと上陽保育園ていうのがあって。
その祝昌保育園というのが今から12年くらいもう前かな、立て替えをしたんですが、その時頼んだ設計士さんが、元々修行したのが石井設計さんで。非常にその設計士さんもいいセンスの持ち主だったんですが今回はコンペ形式で石井設計さんにもご参加いただいて、結果お願いする運びとなりました。
- 加藤
- あくまでもプロポーザルとして設計事務所を選ぶという提案だったものですから、最終的には完成形と提案とはちょっと違います。
その間に園長先生からのご要望もだいぶ変わってきたり、いろいろ変わりましたので。
- 園長
- 違いますよね。全然とは言わないけれど。
基本的なところは変わってないですけれども、形の部分は随分変わりましたよね。
密に話すようになったのは実際決まってからですから。だから、もちろんプロポーザルに出た時のその設計もよかったんですけども、話していくうちにじゃあ太陽光を入れようかとかもっと広くしようとか庭どういう感じにしようとか。
そんな感じですよね? - 加藤
- そうですね。初めの提案はオーソドックスというか片流れ形式の屋根だったんです。
いろいろ先生の方からご要望がでたり、やはりなにかこうインパクトのあるようなものにしたいとか。
やはり土地が平らな場所ですので、うまく風景になじむような建物にしたいとか。いろいろなご要望いただいて。
それで今こういう形式になったという経緯なんですね。
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北側全景
上毛三山を思わせる複雑な屋根の造形。 -
プロポーザルでの提案モデル
実際は屋根形状などが大きく変わっているのがわかる。
自然と共鳴する造形
- 園長
- かわいい建物にしてもらいたいのと、目立つようにしてもらいたいということは言いました。
ここ野原で見晴らしがいいでしょ?
だから自然と共鳴できるような、共生できるような建物がいいなと思ってたんで。
上毛三山みたいなことをモチーフに屋根を考えてみてくださいというような提案はさせていただいたら、こういう難しい屋根に(笑)これは建築屋さんはすごく大変だったらしいですよ。 - 加藤
- えぇ。ただまぁ、いろいろうちのご提案を見ていただいて、よく決断していただいたなと、思いますね(笑)。
この屋根を作るにあたって、骨組み全部を鉄骨でやっているんですが、それがやっぱり大変でした。
- 園長
- これはね、大変だったと思うよ。
複雑なんですよ。
1個として同じのがないんですよ。本当波打ってて。
だから現場合わせで合わせて、合わないからまた持ってったり。 - 加藤
- あまり他ではやらないです(笑)やりたくても出来ないかたちですね。
一番初めに話がありました周りの風景になじむようなと言いますかね、風景の1つになるような建物って先生のお話もあったんですけど、そういったものとして、形作る上でこういったものはいかがでしょうかという提案を先生の方で呑んでいただいて、許可していただいて。
案はいくつか当然作って。まぁ國津とも話をしながら進めていったんですけど。
まぁ実際に私が話をしていって形にしてくれるのは彼ですから、非常に難しかったとは思いますね。 - 園長
- 最後の最後までどういう形になるかっていうのがね、頭の中で想像出来なかった。
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北側の外観
楽しそうに配された丸窓。 -
遊戯室
屋根の造形に呼応した高い室内天井。
木のぬくもり
- 國津
- こちらの園はお子さんが裸足で保育するんですよね。
そういうこともあって、主に木をコンセプトとして、そのぬくもりであったり、素材の質感であったり、そういうところを充分感じられる元気な保育園を目指してコンセプトとしました。
屋根の形状をそれをうまく利用して、中の天井の高いところを作ってあげて、そこから太陽の光、自然の光を残してあげるためにトップライトを使ってるんですね。
あと大切なのは危機管理というか安全性の部分ですね。
細かいことを言えば壁の角であったり、床の硬さであったり、色々ありますが、ここでは視線の確保というか、目の行き届かないところを少なくしています。
- 加藤
- 今回は庭とのつながりもうまく構成されています。
実際の園庭と園舎とのつながりとか、本来なら園舎の前には運動場が拡がっているようなイメージがあるんですが、今回はそういったものじゃなくてというご要望があったり。
先生の方も自然の木を非常に大切にして今回は園舎を造りたいとおっしゃってたんで、なるべくうまく木を使って森の中にあるような園舎というイメージがありました。
まだちょっと、木が半年強ですので、これからうまい具合に育っていけば良い感じになっていくんじゃないかな。 - 園長
- 内装の現場も大変でしたね。
- 加藤
- うちの國津は当然ですけど、先生も毎日いらっしゃって。
- 園長
- 好きなんですよ(笑)、こういうの見てるのが。
もう國津さんと一緒になって、第2の監督で、影の監督っていうのかな(笑)。
床張りなんかもきめ細かいところまで指示してますから、ずーっと大変だったと思いますよ(笑)。
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廊下
広々とした室内では子ども達が走りまわる。 -
読書コーナー
隠れ家のような空間も。
のびのびと過ごす子供たち
- 加藤
- 9ヵ月たちましたがいかがですか?
- 園長
- 来年になれば4歳児まで出来ますけども、再来年になって5歳児。
3年建ってみないと、建物自体の評価というのはまだ分かんないところは充分あるんですよ。
でも、他のクラスは使ってないにしても、使い勝手的には充分機能してると思いますし、こちらのコンセプトを充分踏まえて設計してもらいましたから、いいなという印象はありますよね。
前の保育園はちっちゃかったですから。そういう意味では小ぢんまりしていて騒げなかったですけど、ここはとにかく広いから。
そういう面では違うと思いますよね、子供たちの動きがね。
泣いてたりする時も他の部屋で気を紛らわせることも出来るし。
天気の悪い日も思い切り体を動かしてストレス発散することが出来るので、だいぶ子どもたちのびのびと過ごすことが出来てるのでいいと思います。
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デッキと園庭
デッキを通じて室内と室外は明るくつながる。